アンノのホームページへようこそ
Anno's spirit: sharing, opening up and exchanging with each other.
分かち合い、心を開きあい、共感し合うということ
ウェールズの詩聖、アンノ
アンノの処女詩集 “Who Said the Race is Over?" (『レースがおしまいだなんて、誰がいったの?』)を手にした時、私がまず感じたのは、アンノに会いたい、そして心を開き合って、世界について、魂について、愛について、心ゆくまで語りあいたい、ということでした。
残念なことに、それは実現できない夢なのです。アンノは、2001年の11月、イタリアのミラノ郊外のハイウェイで衝突事故に巻き込まれ、すでに帰らぬ人となってしまったのですから…アンノが21歳になる1ヶ月前のことでした。
私はそんなアンノと詩を通して出会いました。アンノの2年目の命日に処女詩集がイギリスで出版され、不思議な縁を辿って、私の手元に届きました。私自身、2000年からのアメリカでの4年近くの滞在をひとまず切り上げ、東京で映像作家としてプロジェクトを育て上げようと、人生の最大のチャレンジを決意した矢先のことです。
それよりも前に、一度だけ、アンノの笑顔をアンノの古いWEBページで見たことがありました。まだNYにいる2003年の6月頃でしたが、その見事なまでの明るさ、純粋さがこぼれ落ちる美しい笑顔を見て、私は「天使の愛」を直感しました。
こんなことを書くと、天使はいるのか、という議論になりますが、私のように長年アーティストをしていると、どこか高いところから私たちに与えられる霊感があることを、分かるようになります(眉唾の人がいらしたら、メールをください。教えて差し上げます)。
私の場合、天使とは広い意味での神的なインスピレーションや直感です。それはいつもビジョンで私の意識に入ってきますが、音楽家の方は音で入ってくる、とよく言われています。
ウエールズの自然からのスピリットに包まれて
さて、ロンドン生まれながら、ウエールズで育ったアンノの故郷のウエールズ地方は、エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』の舞台であるヨークシャーと似ています。
イングランドでも最西にあたるこの一帯は、古くからアイルランド人の居住地でケルト文化圏です。エミリーがアイルランド系であったことを思うと、アンノが愛したエミリーの詩の魂も、ここでは身近に感じられます。
木の葉は、年中吹き荒れる海からの雨風の勢いで、すぐさま風にさらわれてしまいます。枝は枝で、長年の風との戦いに疲れきってしまったようで、魔女の指のように折れ曲がっていて、細かく入り組んでいます。木自身も、風との追っかけっこに勝てないのでのしょう、小高い丘陵には、木がほとんど生えていません。とはいっても、辺り一面は火山灰でできた台地なので、とても根が生えるとは思えませんが….
でも風と雨が静まると、そこは、なだらかな緑の牧草地帯に、馬や羊や牛や牧草地帯の動物たちが美しい点景となって、夢みる詩人たちの理想郷に一転します。一日のうちで、自然の激しさと恵みを同時に肌で感じられる、そんな場所でアンノは育ったのです。
そんなアンノが見上げた空と、アンノの魂が鼓動していた大地と、アンノが吸い込んでいた空気に包まれながら、アンノの詩のいくつかを日本語に翻訳してみました。アンノが大好きだったエミリーは、私も大好きな作家ですが、私には、エミリーもアンノもまるで魂の友のように感じられます。
私が選んだのは、アンノの詩の中でも、社会批判的だったり、スピリチュアルなテーマだったり、比較的難しいものばかりですが、アンノのお父さんのアンドリューさんから、詩が書かれた動機や、アンノのプライベートなエピソードを直接聞くことができました。
アンノのあふれる情熱、大胆で怖れを知らない鎧をまとった理想、魂の奥底から絞りだされる繊細でメランコリックな詩情を、アンノと分かち合う気持ちで、訳してみました。
詩人、そしてミュージシャンとして
アンノは20歳で亡くなるまでに、1000編ほどの詩を遺しました。中には走り書きのような短いものもありますが、「詩」という体裁のものは、700くらいあるでしょうか… 昨年の11月に発刊された処女詩集では、そのうち75編をお父さんのアンドリューさんが選び、小さな写真集になりましたが、同時にアンノのバンドである「Kicks joy Darkness」のファーストアルバムも発売になりました。(www.amazon.co.ukで英語のオリジナル詩集とファーストアルバムが日本からも入手できます)。
アンノの詩のいくつかは、歌としても書かれていますので、翻訳した詩のタイトルをクリックすれば、アンノの歌声も聴こえてきます。
映画監督でシナリオ作家の父をもち、映画女優の祖母、そして叔母はイギリスの国際女優でシャンソン歌手のジェーン・バーキンさん、お母さんのビーさんは写真家で映画プロデューサーという、イギリスでもすこぶる名門のクリエイティブ一家で育ったアンノ。
アンノは、親友だったミラ・ジョヴォヴィッチとのアルバムをレコーディング中に亡くなりましたが、お母さんのビーさんによれば、人生で最も幸福な時期に亡くなったとのこと。そしてアンノは素晴らしい詩と歌を私たちに遺してくれました。
余談ですが、アンノは実は日本と不思議な縁があるのです。
アンノの名前は、実はアレクサンダーなのですが、子供の頃に日本の絵本作家安野光雅氏の英訳絵本が大好きで、いつしか自分のことを「アンノ」と呼ぶようになったとか…. そしてアンノは禅を西洋に広めた鈴木大拙先生に傾倒しており、日本に行くことをずっと夢見ていたようです。
アンノは、実際には日本には来られませんでしたが、アンノのおばさんのジェーンさんが日本でのツアー「アラベスク」で、アンノの詩を英語で朗読しているので、アンノの魂はすでに日本に舞い降りてきているかもしれません。そしていま私がこうして、アンノの詩をウエールズで翻訳している訳ですから、アンノはもう私たちの身近にいるのです。
アンノが教えてくれるのは、「分かち合う」ということ、そして自らを何かより高きもの、大きなものに捧げるということ。私もそのことに感銘して、そしてアンノの魂との出会いに感謝をこめて、アンノの詩を日本の若い方々に、ぜひ読んでいただきたい、と願っています。
ウェールズにて
伊藤美露
2004/3/19
Steal me (Who Said the
Race is Over? page 6)
僕を盗んでほしい
Steal me.
Melt my gold centre.
I enter through your dreams,
where you're weak,
and where I'm clean of inhibition.
I'm killing this body, this prison of flesh,
this heart and this head that you loved – put to rest,
but I'll see you in sleep,
when I'm perfect.
僕を盗んでほしい。
僕の黄金の中核を溶かしてほしい。
僕は、君の夢を通して、君の弱気なところ
僕の引っ込み思案がなくなっているところに、忍びこんでいく。
僕はこの肉体、この肉の牢獄を消し去っているところだ。
君が愛したこの心と頭を、静かに休ませてほしい。
でも僕が完全になって、君が眠りにつくときには、
僕は君に会えるだろう。
(1999年春)
Warship (Who Said the Race is Over? page 8)
Damn this lucky
life, this paper knife,
this wound too small
to find,
too stoned to mind,
too raw to work ...
こんな幸運な人生って、こんなぺーパーナイフって、
見つけるには小さすぎるし、気にするには悦に入りすぎているし、
利かすには生々しすぎる。
Into your system,
you don't listen when
I crave forgiveness.
Calming darkness,
I'm not heartless
but my motive's missing.
I'm not
flightless, but my wings are rusted.
Please believe me,
faint and musty are the
smells of summer rain,
this tyrant slain and
petty
maimed and mauled and
crawling bare,
and soaring scared
and thawing fast
the heart at last ...
is thrown around me.
君たちのシステムに浸かってしまうなら
許しを切望しても、僕は聞かないよ。
闇に静けさを与えてしまうなら
僕にはハートがないわけじゃないけど
僕の動機は行方を眩ましてしまう。
閃光には明るさがなく、僕には何も畏れるものがなくても
僕の翼は錆び付いてしまう。
どうか信じてほしい。
目眩とかび臭さは、夏の雨の匂いがするんだ。
この暴君が殺めた、とるに足らない
不具で、手ひどく傷つけられた
のろのろと這い回り、剥き出しになった
舞い上がっておののく
速く解凍していくだけの
ハートがおしまいには
僕に投げつけられるんだ。
Now windows black,
this night is strange and cracked.
The doors will
swing back wide again one day.
いま窓は真っ黒で
こんな夜はよそよそしくて、皹が入ってしまう。
扉はいつの日かもう一度、悠々と一回転して
僕のところに戻ってくるのだろう。
Damn these wasted
words, this insulating illness burns
through fire and tears
and waters weird,
uncertain in this curtained
dream ...
This burden
gleaming, breathing by
our necks in smoking
wrecks we hide,
in tides we climb,
too fierce to take
in baited judgement, they will wait.
こんな言葉の無駄使いって、こんな侮辱的な病気って
炎と涙ごしに燃えて、幕のかかった夢の中で
奇妙に、不確かな程度に
よだれを垂らす。
この愛はきらきら輝いて
僕たちが隠す煙の立ち登る船の上で
僕たちの首で息を吸い
僕たちが上る潮の流れに、怒りすぎてしまったので
餌付けされた判定を
受け入れることができないでいる。
あの男たちが待っているのに。
Time is tasteless,
and I'm grateful for
this
gracious burden,
come and laden me my
wishful maiden,
lonely worship,
please return it and
stand down your warship.
I'll enforce it if
you'll
just condone it. Seems
we've thrown it out
for wishful thinkers.
時間には味がなく、
僕は、この慈悲深い愛の重荷に感謝する。
ここにおいで、僕の物ほしそうな処女よ
僕に重荷を積み込んでほしい。
僕のひとりぼっちの崇拝
どうか愛を返してほしい
そして君の戦いの船を停戦させてほしい。
君が愛をただ大目にみてくれるだけで
ぼくはそれを強くしてみせよう。
物欲しそうな思想家に
僕はそれを投げつけてしまったようだから。
The warmth will
come again someday, somehow.
The heat will rise
and render us empowered.
I've been waiting,
I've been breaking up inside
I've been listening
and I haven't heard a sound,
I got blisters and
I don't recall the flame.
Once she kissed me
and I shivered from the shame.
Once she kissed me
and I shuddered from the fame.
温もりはいつの日か、どうにか戻ってくる。
熱は上昇すれば、僕らを骨抜きにして溶かしてしまう。
僕はずっと待ち続けながら
内に籠るものを壊してきた。
僕には火ぶくれができたけど、炎は思い出さない。
あの女が僕に接吻してくれた途端に
僕は恥ずかしさでぞくぞくした。
あの女が僕に接吻してくれた途端に
僕は炎で震えた。
(
Sacrifice & Bliss (Who Said the Race is Over? page16)
The veneer has been varnished,
our hope has been harnessed and
hung to blow on the gallows.
In the shallows of bliss where we
kissed without mercy, so
salty and thirsty for sin.
うわべだけの化粧はごまかされ
僕たちの希望には紐がつけられて
絞首台の上に吊るされたまま、ずっと喘いでいた。
至上の喜びという浅瀬で、僕たちは罪の塩っぱさで
喉をカラカラにしたまま、恵みも受けずに接吻した。
Oh man, don’t open the gates and he’ll never get in.
Thin man, why wish for a sun that is wrinkled and white?
And you’re tight man, your fate’s up for sale
and it’s your turn to bid,
Don’t even think it, don’t open your heart
and you’ll never get hit.
どうか門を開けないでほしい。そいつが決して中には入れないように。
やせ細った男よ、どうして皺のよった無害な日差しを求めるのかい?
君はけち臭い男で、君の運命は売りに出されていて
しかも、次に競り落とすのは君の番なのだ。
思ってもほしくない、君の心を開くなんて。
君は決して傷つきはしないのだから。
You are too dumb for words,
you are too numb for lust, you are
too young for aged desire.
You are too young for her,
too fun to trust, you are
too wet to let near our fire.
君は、言葉を使うといっても口がきけないし、
肉欲には無感覚すぎるし、
年老いた欲求には若すぎるし、
あの女にとっては未熟すぎるし、
信頼するには浮かれすぎだし、
僕たちの炎に近づかせるには、濡れすぎている。
Tired man, don’t open your eyes and you’ll never grow old.
Old man, don’t live in the light of a sun that’s run cold.
Cold man, don’t sleep for the dreams that you daren’t understand.
Don’t question why, just don’t open your eyes and you’ll never go blind.
厭きた男よ、眼を開けないでほしい。
君は決して年をとることはないのだから。
老いた男よ、エネルギー切れの日差しの下で暮らさないでほしい。
冷えた男よ、できるものなら分かりたいと思う夢のために、眠らないでほしい。
どうして? とは聞かないでほしい。
君の眼を開けないでほしいだけなのだから。
そうすれば、盲目になりはしないのだから。
Deep within the storm find calm, find solace in your arms,
when days of soft decay and sweet surrender were my dreams,
and all the world was still of all its agony and smiled.
For just a moment. Just a little while …
嵐の只中の奥底で静けさを見い出し
君の腕の中で生気を見つけ
優しく朽ちて甘く降伏する日々が僕の夢になるとき、
地上のすべてがいまだにその断末魔にあっても
微笑みが授けられたのだ。
ほんの束の間、ほんのわずかの間に ….
Entombed man, open your eyes or you’ll never see light
and decay man, what good is a fist if there’s no one to fight
but yourself, man? You’re stooped in the gulf of your own stupid mind
and you find, man …
葬られた男よ、眼を開いてほしい
さもなければ、決して光は見えないだろうから。
そして朽ち果ててほしい。
もう君自身以外には、戦う相手がいないのなら
拳骨もどんなによいものになるだろう。
君自身の馬鹿げた意識の深淵に
歯止めをかけてはじめて、君はようやく見つけるだろう….
(1998秋/1999夏)
Touched (Who Said the
Race is Over?
page18)
I saw from this place at the
foot of my grave
I gave myself in awe to
childish hope and promise.
The tomb it was dug by those
whom you know
and love and
trust.
There's just room enough to
put you in.
僕は、僕のお墓の足下で、この場所から見つめた。
僕は、子供じみた希望と約束におののきながら、己を捧げた。
墓は、君が知っている、愛し信頼する者たちによって掘られた。
君一人が入るに足るくらいのスペースだ。
And you fear that you lust,
and you know what you love must
be clean.
And you fear what you've seen,
what you've touched, what you've
been.
And I'm touched.
I'm not naming anyone at all.
君は渇望することを怖れ、
知っている、君の愛が清算されなければならないことを。
君は見てしまったもの、魂に触れられてしまったもの、
そして君であったものを怖れる。
そして僕は感動する。
誰かを名指して呼んでいるわけではないけれど。
I'm soon to return,
there's soon to be fire in my veins
again.
I'm almost home.
I'm almost ready.
僕は間もなく戻っていく。
すぐに僕の血脈には、火が灯されるだろう。
僕はほとんど故郷に帰ってきている。
僕はほとんどもう準備ができているのだ。
(1999年夏)
Like
Light (Who
Said the Race is Over?
page 22)
He stood like a stone with a
storm like a scarf,
round a face he wore like a mask,
as basking and bathing in glory
he lay,
clasping air with the claws of his
mind.
T'was weary and wary of truths
buried deep,
steeped in the bowels of your pride.
“It's warm” you once said
“where the dead flowers grow”.
I know. I go there.
その人はスカーフのような突風とともにやってきて、
石のように、立ちすくんだ。
顔にはマスクのようなものを被り
その人が横たわった栄光に浴して浸かりながら
その人が持つ精神という爪で、大気を抱擁する。
その人は、深く埋葬された真実に疲れて、用心深くなり
君の誇りという内蔵の中に浸かっていった。
「温かいわ」と君はかつてそう言った。
「死せる花が育つ場所ね」
そう、ぼくはそこへ向かうんだ。
Love is the only truth, like
light.
Let truth move out of you like
light.
愛は、光のように唯一の真実だ。
真実を光のような君から発散させてほしい。
The jester he blessed her and
guessed at her age,
and he dressed her in rage and
desire.
And he wired her up to his
conscience and cried,
and it writhed in her sex and
sedition.
The art in the eye of the
harlot survives
as a shimmer of God for your
soul.
So little is known of your
love or your lover,
she sits sweetly above your
seduction.
道化師であるその人は、あの女を祝福し、あの女の年を想像して、
憤懣と欲求の衣装を着せた。
その人は、神の良心にあの女を針金でつなぎとめ、泣き叫んだ。
あの女の性をねじまげ、煽動した。
売春婦の眼に映る芸術とは、君の魂にとっての神の微光として
生きながらえていく。
君の愛、君の愛人について、こんなにも知らなさすぎるのに
あの女は、君の誘惑の頭上に、甘く腰をおろす。
Love is the only truth, like
light.
Let truth move out of you like
light.
愛は、光のように唯一の真実だ。
真実を光のような君から発散させてほしい。
In death there's growth and
understanding:
there is no sufferance in
surrender.
Don't fear the other – his
claws or his cage –
his rage is your rapture.
Capture this light 'fore it sinks
beneath the
mountains bathed in blood.
死には成長や会得があって、降伏には苦悩はない。
死を怖れないでほしい。
その人の爪や籠、怒りは君にとっては誘惑だ。
この光をつかまえてほしい
それが血に浸かった山々の下に沈み行く前に。
(1999/2000年 冬)
My imminent casket (Who Said the Race is Over? page 29)
僕の差し迫った棺
My imminent casket is cold, now
these
baskets of flames that I hold give no
heat.
I'm giving out tongues to
fellows whose names
should be beaten and bellowed and
sung,
but whose skins are stretched out
in the sun
and then hung in the rain on the
frame of Utopia.
僕の差し迫った棺は、冷たくて、
僕が抱えているこの炎のかごは、
熱さを与えてくれない。
打ち負かされ、吠え立てられ、歌われるべき名前をもつ仲間たちに
遺言を分け与えても、その皮膚は日差しで突っ張ってしまったまま
ユートピアの額縁の上に降る雨の中に、吊るされている。
There's a young man with God’s
face,
aware of his place and peculiar
nature,
who features now often in dreams
–
We go off through the seams,
hand in
hand to my softening centre.
神の顔をもった若い男がいて、
その場所と、その特有な自然に気づいている。
その面影はいま、夢の中に頻繁に現れる。
僕たちは、その傷跡を通って死んで行く。
僕の柔らかな芯への道のりを、手に手をとりながら。
Our insular form is a fallacy,
born
from our subjectivity, torn by and
bound to divinity,
manifest in all the universe’s cursed
movements.
Hail the hearse of fleeting
moments, always
packed with the condolences
of those who never acted on
their instinct,
those suspended always at the brink
of their existence.
Well, now I shall dispense
with what I think, and sink
below the waves of impulse that
engulf and bust my bones,
and that disgust those not
accustomed
to the throes of such abandon.
僕たちの島国根性のあり方は、間違いだ。
僕らの主観性から生まれ、神に引き裂かれて、神なるものへと向かいながら
普遍的な宇宙の呪われた動きから立ち現れ
移ろう瞬間の霊柩車を大声で呼んで
いつもお悔やみの言葉で、いっぱいに詰められている。
そういった輩は、直感で行動することもなく
自分たちの生存の崖っぶちでいつも宙づりになっている。
僕はいま、思索を免除されて、僕の骨を巻き込んでいきながら
破壊するような衝撃の波の下に沈むのだろう。
そんな奈落の激痛に慣れっこになっていることを
忌々しく思いながら。
(1999秋)
The world is ending now (Who Said the Race is Over? page 35)
世界はいま終わろうとしている
The world is ending now – the
seal is broken!
The woken Jesus walks and
weeps and
sleeps no more, for Man has murdered
sleep for all mankind.
Do you read me?
Do you read me like a
knowledge?
Where I
rummage through my soul in search of
truth,
I find a bondage to you –
thick as thirty thousand ropes and
chains
that carries like a vein your
warmth,
deep into my stomach.
世界はいま終わろうとしている___
封鎖が解かれ、
目覚めたイエスが現れ、涙を流すなら
もうこれ以上眠ることはできない。
全人類のために、眠りを殺してしまったところだから。
君は僕を分かってくれるかい?
僕のことを知識として理解してくれるのかい?
君が真理を求めて、僕の魂をくまなく捜していくなら
そこは君にとっての束縛の地となる。
僕の胃袋の奥深くに、3万本のロープと鎖を併せたほどの厚さの
君の暖かさが、血脈のように運ばれてくるのだから。
I'll light you. I'll sleep
with your head on my shoulder.
In the shadows of fables and
dreams and desires,
we’ll revel and wrestle in sweat
and disorder.
We'll smoke cigarettes...
nestled in nerves and regret.
君に光を灯そう。
君の頭を僕の肩の上に擡げながら、眠りに就こう。
物語と夢と願いの影で、僕たちは甘く、無秩序に、享楽に没頭し
格闘することにしよう。
神経過敏と後悔とに寄り添われて、一緒に煙草を燻らせることにしよう。
I'll let you anywhere you want
to go...
I'll give you knives and keys.
We'll live quietly, in a
mansion of bones and bullets,
We'll fill it with fury and
goodness and guilt.
We'll grow a certain flower on
the roof and as
proof of our conviction we'll do
something stupid.
Like eat chocolate,
or
jump off.
君が行きたいところへは、どこへでも行かせてあげよう。
君にはナイフと鍵を持たせてあげよう。
骨と銃弾でできた屋敷の中で、ひっそりと暮らすことにしよう。
僕たちの屋敷を、滑稽さと美徳と罪とで満たすことにしよう。
屋根の上には、チョコレートを食べるか、飛び降りるか
そんな馬鹿げたことをしようとする、僕たちの罪の自覚の証拠として
ある花を咲かせることにしよう。
I’ll let you anywhere you want
to go,
but you can never go away.
君の行きたいところへは、どこへでも行かせてあげよう。
でも、君は決してどこかへ行ってしまうことはできないのだ。
(
Nero’s
New Bathroom (Who
Said the Race is Over?
page 37)
The Eagle has landed, has
branded itself the new emperor... and
its
beak is so vast and so vile that
it can't hide the
smile that it casts like a creek
through that rag on a
rope, up a mast, that they've got
up their arse, that they
hope is a flag but it's not, so
they grasp for some
God, but He's dead or asleep,
so instead they just
grope at their guns, and they
鷲が降り立って、新しい皇帝の紋章となった…
その嘴は、いかにも巨大でいやらしくて
マストを立ち昇るロープに吊るされた
あの布切れ越しに投げかける
入り江のように尖った笑いを隠せない。
あいつらは、悪巧みを高く掲げ、
旗に向かって願いごとをしているけれども
本音は神を手に入れることだ。
でも神は死んでしまったか、眠っているところだから
あいつらは、そのかわりに銃を手にして暗中模索する。
hop and they skip and they jump
and they run and they
leap to the edges of madness, and
stop. At the
ridges they wait, they throw bait to
the wind and they
wind themselves up and get hungry
for something to
happen. The eagle, you see, needs a
weapon, a
web round its nest to prevent all
the sun and the
flies getting through that might
alter the hue of their
white, flightless son who
あいつらは片足で飛んだり、スキップしたり
ジャンプしたり、走ったり
狂気のぎりぎりまで飛び越えたところで、立ち止まる。
あいつらは峰の分水線で待ち構え、風に餌付けをして
時計のネジを巻き上げ、何かが起こらないかと
腹を空かせている。
見ての通り、鷲は武器を求めている。
あいつらの肌合いの白さを変色させるかもしれない
地上のすべての日の光と蠅から身を守るために
あいつらの巣窟のまわりに
蜘蛛の巣を張り巡らそうと
求めているんだ。
can't lift a finger without some
machine like a trigger.
The Dragon however, and Bear
disapprove, and they
whisper and move to get nasty.
Both of them thirsty for power
– they're cranking up
louder that song on the box with
some guy going
on about not having nothing and
not having
nothing to lose. But
畏れを知らぬあの息子は、引き金のような類いの道具がなくては
指一本、持ち上げられないのに。
対する竜や熊は、鷲に賛成していないのだから
ささやき声を荒げ、口やかましくなる一方だ。
あいつらは、ともに権力欲しさに
のどをカラカラにして、ショーの始まりを告げる音を
ますます高く掻き鳴らしながら
ある奴が持っているという、あの箱について歌った。
持っていないわけがない、逃れるものがないわけはない、のだと。
Nero's new bathroom in
windows. It's sound-proof and Nero is
napping.
ところで、ワシントンのネロ皇帝の真新しいバスルームには、窓がない。
音も遮られていて、ネロは居眠りをしているところだ。
The Bear now is snapping his
teeth and rapping his
thumbs on a sickle of pride –
there's a trickle of
blood running still from the wound
in his side in the
shape of a star, and he bellows and
barks out for
something like order. Or Honour. Or trust. But the
熊は、いまやプライドという小さな鎌を握りしめ
歯をプツンとはじいて、親指をコツンと鳴らしながら
戦闘に備えて身繕いをする。
横腹には星の形の傷があって
まだ血がしたたり落ちているけれども
熊は吠えて、喉をうならす。
命令とか、ユーモアとか、あるいは信頼とか
そんなものを求めながら。
bird's got its head in some
Bush, and it cushions its ears
so it just doesn't hear shit.
対する鷲は、おつむを雑木林に突っ込んでしまって
耳に緩衝材が詰まってしまったから、
面倒な話は聞こえない。
Near it the Dragon lies coiled
and curious,
oiled with a furious cunning, and
running her ruby red tongue in vexed
little circles
among her porcelain teeth.
傍らには、竜がとぐろを巻いて横たわり
好奇心を滾らせ、
荒れ狂うほどのずる賢さのために、脂ぎっている。
陶磁器のような歯の間から
ルビーのような紅の舌を
苛立ちながらグルグル小巻きにして、垂らす。
Inside her a billion babies
there wait to be born.
Will George be sat mourning
the
Rangers while round him the
White House turns red?
竜のお腹の中では、10億もの卵が
産み落とされるのを待ち構えているのに
ジョージはホワイトハウスが血で赤く染まっている間
レンジャーズの敗北という喪に服したまま
無関心でいるのだろうか?
Ah... but the dangers can
wait 'til he's done with his
pancakes and eggs.
でも危険はジョージがパンケーキと卵を焼き終えるまで
待ってくれるのだろう。
His good brother Jeb cooked it
up real good and real glossy...
well my brother
Ned – he is only sixteen but
he's wiser than
all of your posse, and cleaner
than all of your
knights in their nappies, with
sight-seeing maps which they
bought because soon, well, they
really
ought to find chivalry.
ジョージの良き弟のジェブは、本物のうまさで本物にみえる
テカテカのやつを焼き上げた。
僕の弟のネッドは、まだ16歳だけど
あいつらの武装隊のどいつよりも賢くて
おむつをはいたあいつらの騎士隊の誰よりも清潔だ。
あいつらは観光地図を買って持っているからといって
騎士道をすぐに見つけなくては、と本気で思っているんだから。
Didn't you say that the moon
was the only such compass?
Yes. But I guess I was
lying... they
grow it in
君は月だけがそんな目的のための
羅針盤だったと言っていたかい?
そうだったね。だけど僕は嘘をついていたんだと思う。
あいつらは、最近、テキサスでそんな羅針盤を開発させたんだ。
Hurry up boys,
they're invading through
get to the borders, quick! Get to
the Texaco
stations and wait for the truckloads to
mosey on through...
then shoot the shit outta them!
「急げ、メキシコから奴らがやってくる。
早く国境まで素っ飛んでいけ!
テキサコ石油のスタンドに着いたら
ノロノロと突き進んでくるトラックの積荷を待って
糞を噴射しろ!」
They're giving out pills to
the goons with the gold, to
prevent them from getting too old...
too abruptly.
The world should take Ned for
example,
I do, and I've ample room for unrest in such
resource.
あいつらは、黄金をもった無法者に錠剤を与えて
ヨボヨボになりすぎたり
乱暴になりすぎたりするのを防ごうとしているけど
世界はネッドを模範にすべきだ。
僕もそうするけど、そんな人材ばかりでは
安息なき世界は狭まらない。
Ha! The
Lion of British nobility, more
like a
kitten you see, she just tries to be
cutesy with everyone. And
everyone gets rather pissed with
opinionless pissheads. So
the
Bird and the Bear and the Lizard,
they twist like a
blizzard and turn upon me in my Lion
suit,
mute in my wizard's hat,
trying to change or explain this or
that...
ああ、イギリスの高貴なライオンは、なんと子猫のように見えることか。
子猫はただ皆からの可愛らしいうけを狙うだけ。
意見をもたずに、ただおしゃべりするだけの空っぽの脳みそに
誰もがうんざりしているのに。
対する鷲と熊と竜は、大型の吹雪のように体をくねらせ
ライオンのスーツに身を包んだ僕に敵対し
あれこれ変えたいのか、言い逃れをしたいのか
僕の魔法の帽子の中で押し黙る。
feeding my hospice of hope with
another new joke
every second I'm sat here. Is it
all just another false warning?
Another fat
fanciful wish of mine, seeking
admission to
history's awning and binding me
there... where
if you go looking my name you'll
be finding in
Book Number Ten of the honourable dead. You
said that the very front line
seems somewhat un–
worthy of a life like mine own,
funny then that
it should be me who is crying
out loud, for per–
mission to be... or be given death.
あいつらは、僕の希望のホスピスを
僕がここに座っているこの一瞬一瞬に
新しい別の冗談で養ってくれるんだそうだ。
それもまた全部、また別の嘘の警告なのか?
歴史が雨よけをしてくれるのなら、僕をそこに繋いでほしい。
そんな許しを求めながら、僕の中では
また新しい空想の願いが膨れあがる。
もし君が僕の名前を見つけたいなら
栄えある殉死者名簿の10冊目に、僕の名前を見つけるといい。
君は、戦場の最前線では、僕のような命が
どことなく無価値に思われていると言っていたね。
そうならば、おかしいだろう
生き続けるためか、また死を与えられたいからといって
そんな許しを求めて大声で鳴くのは、僕のはずなのに。
There in my dreams I lie
shaking, trying as
hard as I can to take life from
the rest of this
can full of worms (that I love),
and I burn in my
sleep and I mumble a prayer and I
wake.
僕は夢の中で震え、人生という蛆虫で一杯の缶詰の残りから、命を取り出すために、そんな場所で一生懸命になるんだ。
僕は、眠りのなかで燃焼しつつ、祈りをもごもごと唱えながら、目覚めるのだ。
One day we will
take it in turns to admit and to
then be admitted,
into His arms. And my
Mother's fair name is the one
that will float from my
lips as I fade... and eclipse
beyond nothing.
いつの日か、僕らが罪を告白する番になって
懺悔した後ではじめて
僕らは神の御腕の中に入っていくのだろう。
そして僕の聖母の見事な名前は
僕が消え入るときになって、唇から流れ出すと
無の先へと侵食していくのだろう。
(2001年2月4日完)
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